仮称なんたら日記

読書や音楽や映画、その他もろもろ書き綴ります。

本「リベラル」がうさんくさいのには理由がある

この本の内容は、雑誌のコラムをまとめているため多岐に渡ります。
 
冒頭の沖縄戦の裁判のくだりが一番力が入っていたことは間違いないです。
慶良間島の集団自決が軍の命令だったのかという裁判は、以前、そういう論争があったという理解ぐらいで詳しく検証したことはありません。教科書問題にもなった話だと思います。
 
結論から言えば、慶良間島の集団自決は当事者への事実確認が不十分(ここでリベラルへの批判があります)なまま出来上がった軍命令説が、証言者の死後の手記により覆されたとまとめられています。当時の軍の責任者を、島の人が後日、島の慰霊祭に招くほど島の人から憎まれてはいないという事実からも、妥当性があるのではないか。
 
もう一つの主張は自分で読んだり聞いたりした事実とも符合します。この軍の隊長は集団自決命令は否定していますが、軍に投降を呼びかけにきた捕虜になった島の人を処刑したことは「軍紀でしかたなかった」・・・沖縄戦でスパイ容疑で殺害されたり、壕から追い出されたり、壕のなかで泣く子を殺させたりと、住民を守る軍隊でなかった。
 
満州でも、ソ連軍が参戦したときに、日本軍は満州に住んでいた日本人を残して(ソ連にアメリカとの休戦の仲介役を期待して衝突を避けるためという政府の指示)先に撤退し、残された日本人の悲劇の歴史も示して、結局は、日本軍は国民を守る軍ではなく、天皇の私兵で「国体」を守るための軍だったという分析をしています。
 
だから、国をしばる憲法に、自衛隊を明記して国民を守る軍隊という位置づけをはっきりさせるべきだという結論にもっていっています。このくだりは、最後の方で「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」(井上達夫著)を紹介していることにつながります。紹介されている井上氏の主張は興味深いです。この本も読んでみたい本ですね。
 

糖質制限へのこだわり

あんまりマジメなことばかり書くのは嫌なのですが、ユーモアは得意ではないのでご容赦。
 
私は糖質制限にかなりこだわっています。数年前からダイエット目的で糖質制限行う人体実験を行っています。簡単に体重管理ができるようになり、血圧も良好、総コレステロールやLDLは変わりませんが、HDLは上昇し、中性脂肪は下がりました。人体実験の評価は、体重や血圧は良好ですが、総コレステロールやLDLが基準を少しオーバーしたりしていることだけが懸念材料でした。
 
しかし近年、そのコレステロール悪玉説が疑われてきて、総コレステロールが高い方が長生きという研究結果も出ています。またコレステロールは脳や細胞にとって必要なものであること、動脈硬化の原因は、コレステロールではなく、口腔内から侵入した炎症や血糖値の乱高下が犯人で、コレステロールは救急隊の役割をしているだけということも分かってきています。
 
近年常識だった「米を主食とした日本食(糖質が多い)は健康食」や「肥満や動脈硬化の原因は脂質(肉や油、体内ではコレステロール)で動物性脂肪が悪」という神話にある意味対抗する「糖質制限」(結果として肉やたんぱく質が多い食事)の重要性が証明されつつあるというのが、私の認識です。
 
医学の公式な見解も、世界保健機構も糖類ですが5%未満を推奨(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2015/004142.php)し、アメリカの糖尿病学会が糖尿病に糖質制限を認めるようになり、世界的に糖類が多く入っている清涼飲料水に税金をかけるなどの動きも起こっています。ただ日本では権威の力が強いためか医学界は遅れて、外圧でようやくしぶしぶ認めている現状です。
 
わたしはいずれ、WHOが言っている糖類だけでなく、米や麦、芋類などの炭水化物を含めた糖質の危険性が証明されることは近いと思っています。近年の研究では、がん細胞はブドウ糖(糖や炭水化物により供給)だけしか栄養源にできない(脳や他の臓器はケトン体という栄養源も使える。ただ赤血球だけはブドウ糖のみ)ため、がん治療に糖質制限兵糧攻めにする治療法が模索されています。
 
 また、最近読んだ本「白米が健康寿命を縮める 最新の医学研究でわかった口内細菌の恐怖」

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では、肥満など成人病の原因としての糖質に加えて、口内細菌を増やし血液中に細菌を送り込む大本としての糖質の悪玉ぶりを取り上げています。虫歯や歯周病により口内細菌が簡単に血液中に侵入できることが動脈硬化等の原因の一つとの話は、驚かされるとともに、脂肪・コレステロール悪玉説の代わりの原因の一つとして腑に落ちる話でした。
 
内容を少し紹介すると、人類は進化の過程で、ほとんど糖質を取っていなかったため、口からの細菌の侵入を防ぐ機構が備わっていない。虫歯等による細菌の侵入を簡単に考えてはいけないということでした。足の動脈から検出された細菌の90%は口内細菌だったとか、動脈硬化の部位に口内細菌が検出されているとか、もちろんそれだけが動脈硬化などの原因だと証明はされていませんが、ネットで検索すれば、口腔内の細菌が血液中で検出されるという研究があることは調べられます。
  
糖質制限コレステロール神話、口内細菌は今後も追うべき情報です。食事や口腔ケアなど誰でもできる病気予防法だからです。
 
ただ人類の歴史でこれだけの人口を養ってきたのは、穀物であることは確かです。肉だけでは世界中の人類は養えないでしょうから、健康な人は、精製され栄養をそぎ落とされた白米よりは玄米や全粒粉などを選ぶことや、新しいタンパク源(食用ウジ虫とかの話もあります 笑)を探すことも必要かもしれません。
 

スマートウォッチ注文してしまった

愛用の電波&ソーラー腕時計CASIO WAVE CEPTORが、なぜか30秒だけ時間が遅れる。何度も手動で電波による自動時刻合わせをしたが変わらない。仕事がら時間の正確さが大事なので、1万円未満で電波&ソーラー腕時計を探したが、なかなかない。CASIOの愛用のものが用途としてはドンピシャなんだね。

 

だけど、前からAmazonで安ーい中華版のスマートウォッチを試してみたくて、iphone対応を改めて検討したところ、pebble timeが欲しくなった。たぶん時刻はスマホと連動して補正されて、電池も1週間程度は持つようで非常に魅力的な商品。ガジェット好きなので衝動買いしそうになった・・・先月はasusキーボード付きwindowsタブレットTransBookを衝動買いしちゃったので1万円超えのものは躊躇した。

 

悩んでいるうちに、WAVE CEPTORの30秒時刻ずれ問題の解決策がネット検索で見つかってしまった。何らかの衝撃等で基準位置がずれただけだった。説明書をダウンロードして設定しなおしたら、あっさり正確な時刻を刻んできた。良かったような残念だったような(^^;

 

結局、下のレビューを見ているうちに注文してしまった(^^ゞ

tobalog.com

倉本圭造氏に注目しています

英国EU離脱の混乱には希望がある。 - 倉本圭造(経営コンサルタント&経済思想家)のブログ

 

マスコミでは英国EU離脱が愚かな選択だったとの論調がほとんどですが、こういう考えもありです。

 

もともとこの倉本氏は、私の理解では経済で言えばグローバリズム新自由主義と既存勢力との対立や日本の政治で言えば保守主義自民党日本会議とか靖国参拝国会議員達)と進歩派(左翼)の対立などお互いの仲良しくらぶだけに通じる言葉で理解しあえない(排除し合う)ことの不毛性をテーマとしています。

 

そして、保守主義や英国のEU離脱派は理屈ではなくて、自身の中の守らないと崩れてしまうアイデンティティのようなものが崩されることに危機感を抱いているという分析をしています。これは彼の日本の保守主義対進歩派の対立の分析と同じだと思います。

 

だから彼らと実りのある議論をするには正攻法で理屈で話してもダメで、彼らの生存するためのあがきを理解した上で、進歩派が一段懐を深くして議論できる土俵をつくる知恵が必要で反知性主義と上から目線で罵倒したところで、ますます頑なにしてしまう。

 

そこで、イギリスという老獪なコモンセンスを作った人々が、進歩派(EUやグローバリズム)と保守主義の橋渡しをできる可能性を言っているのだと思います。

 

かつての日本の銀行の護送船団方式がなくなり預金保護が制限されたとき、私は経済とか興味が無くて、預金するのにもいちいち世界の金融動向とかをチェックしないと生活を守れないのか?そんな時間を使うより、安心してわずかの利子でもいいから銀行に預けて時間は自分が好きなこと有意義なことに使いたい。銀行や経済がどうなるか毎日心配するように生活は嫌だと思っていました。だけどグローバリズムはそれを許さない。

 

技術をもった職人気質の中小企業がかつては品質とか職人のプライドだけで戦えたのが、今は世界の賃金がやすい国の製品と戦うことになって、製品の品質より安さで勝負する方向に追いやられている。働くことが人生を充実させることとつながっていたのに、お金の世界に追いやられて、仕事がお金をかせぐことだけになる。

 

だけどグローバリズムは押しとどめることはできない。発展途上国はかつての日本のように世界と貿易して豊かになる権利があります。既に裕福になった先進国が自分達だけの幸福を独占して、世界の貧しい国々を見捨てることはできません。

 

だから、グローバリズムを否定せずに戦える力を身につけなけらばならないと倉本氏は著書で語っています。日本にはそれができると。

 

両極にわかれたグループはインターネットでますます仲間内だけの居心地のいい
世界で自己満足して、結局は実社会では対立して理解し合えない状況が続きます。

だから真ん中のところで議論する集団を作っていく必要がある。イギリスの知恵にその橋渡しを期待しているのだと思います。

糖質制限

NHKの試してガッテンで糖質制限やってました。

 

私は糖質制限続けて、3、4年目になりますが体重コントロールと血圧は堅調です。マスコミは糖質制限に失敗した例をこれ見よがしに取り上げていますが、実際に実践すると効果が出るので、試してガッテンで正しく実践するための注意点をあげていたのは流れが変わったのかと思いました。

私がよく読んでいる糖質制限のパイオニアであるドクター江部のブログです。最新の記事では、いままで糖質制限に反対していた日本の糖尿病学会の会長が自身の病院で糖質制限を採用し始めたとの情報もあります。アメリカの糖尿病学会では既に糖質制限食も食事療法として認められており日本だけが遅れていて頑迷に反対していた糖尿病学会が追随しはじめたようです。日本は相変わらず外圧に弱いですね。自身で判断することができない。

 

コレステロールについても現在では悪玉論が後退しつつあります。医学は進歩していますので、医学の常識が変わっていきます。自分の身を守るためにも目の前の(もしかしたら不勉強な)医者の言葉をうのみにするのは危険です。

ドクター江部の糖尿病徒然日記 糖質制限食とコレステロール値、尿酸値。2016年7月。

 

 

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんワクチンの副作用が盛んにマスコミで報道されました。

 

最近、WEDGEという雑誌で医者でもある村中という編集者の記事を読みました。

マスコミでは副作用があるとの印象を受けますが、WHOや日本の医者では圧倒的にワクチンの効果が大きいとの結論がでているそうです。記事では名古屋の調査で因果関係は認められなかったとの結果が出たのにもかかわらず、裁判を恐れて結果の公表があいまいな形になった。

また、厚生労働省が専門家に委託した調査で副作用を認める結果を公表しマスコミでも大きく取り上げられたことを検証しています。調査の結果、悪い結果がでたものだけ(チャンピオンデータというそうです)、つまり副作用説にあった実験データだけを選んで公表し結論づけているという疑惑が出ています。

様々な症状で苦しんでいる少女たちに同情はしますが、その原因が何だったのかは冷静に分析すべきですね。間違った因果関係が感情論で認められると、結局苦しんでいる彼女たちの症状改善の役に立たないことになります。また、子宮頸がんの防止という益が失われるなら不幸を大きくするのではないでしょうか。

 

マスコミは社会の不安をあおる記事をセンセーショナルに書きますが、その後、そうではなかったという場合でもフォローしません。

例えば、ダイオキシン騒動もありましたが、ダイオキシンはプラスチックを燃やして発生するとして、たき火やごみ焼却が危険視されました。ところがプラスチックを燃やさなくてもダイオキシンの量は変わらなかったそうだ。ダイオキシン自体の毒性もサリンの2倍とか喧伝されたが、実際は人間の寿命80年とすると2日だけ寿命を縮めるだけのようです。おかげで法律もできて、たき火をするのもはばかられるようになりました。

 

他にも常温核融合マイナスイオンとか流行になって結局あれは何だったのかということが多いですね。

放射能とワクチン 不安に寄り添う怪しげな「支援者」 対談 開沼博×村中璃子(前篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

ノルウェイの森

少し前、人間ドックを受けた。

検査の合間に読む手ごろな文庫本が無かったので、知人からもらった「ノルウェイの森」を持っていった。村上春樹はずっと前に「羊をめぐる冒険」を読んではいたのだが、いまいち良さがわからなかった。私はゴリゴリのハードSF好きなので、不思議な物語で結論もなくふわふわとした展開だったように思ったのだ。

 

正直いってあまりブンガクは得意ではない。物語らしい展開のないものも多いし、高校の頃、国語教師が熱く語る梶井基次郎の「檸檬」の何がいいのかさっぱりわからなかった。

 

何しろ私は科学オタクなのだから。ジョディーフォスターの「コンタクト」が好きで(SETI@HOMEしていた)、北海道に作られた異星間旅行の機械の幻想的な映像は、ブレードランナーの映像に似て美しかった。今頃になって原作のカール・セイガンの小説を読んだ。ビジネスで成功した富豪が永遠の生命を求めて人工衛星で暮らしていて、主人公が衛星から眺める地球を見て国境線なんかないと現実の政治の薄汚い駆け引きを超越した感慨にふけるのを読んで、あらためて、世界の国々の為政者になる条件として、人工衛星に乗せて緑の国境線のない地球を眺める研修を受けたらと思ったりして。現実の国どおしのパワーポリティクスを現実的に理解して、安保法制とかの理解もしているつもりだけど、こういう理想を忘れてはいけないとも思う。

 

話をもとに戻すと「ノルウェイの森」を読んで驚きだったのが、私より現実的で社会とうまくやっている知人がこういう本に共感をもっていることだった。私はこの本の主人公と似ていて友達も少なくて社会・集団とうまく付き合えない(全てではないが)という学生時代を過ごしてきて、周りの人間の主人公に対する観察、本質的に自分にしか関心がなく他人に迎合したくないという孤高の姿勢がわかる気がするのだが、知人がそういうことを理解できる人間だとは露程も思ってなかった。

 

結局、村上春樹が多くの人に支持されているのは、うまく周りの人間と付き合ってのうのうと楽しく過ごしている私以外の大勢の人達と思えていたのは違っていて、少なくない人々は心の内では様々な孤独感を抱えていながら、社会生活をしているのでしょう。

 

でも、結局はわからない。本当はほとんどの人は考えもしなくて楽しくしているのかもしれないし。

 

ちなみに、今日はつかの間の家族との生活から離れて単身赴任の島に戻って、ウイスキーを飲みながらこの本の下巻を読んだ。本にタイトルであるノルウェイの森ゴールデンスランバーなどを流しなら。俺って結構、村上春樹の世界に親和性があるのかもね。ギターの練習もしているし。

 

追記

amazonで書評を読んでみたけど、やはり登場人物の自閉的傾向を理解できなくて、気持ち悪いとかナルシストとか批判する人も多いです。実際、人は性格も様々だし、そういうものだと思います。セックス描写を悪くいう人がいますが、そんなに下品ではないんじゃないかな。愛のこもったセックス描写だとしか思えないんだけど。

 

文学作品にわかりやすい結論を求めてもしょうがない気がする。ノーベル賞作家カズオ・イシグロの「私を離さないで」も結論としてわかりやすいものはなかったと思うな。それにノルウェイの森の最後は尻切れで読者に想像させるものだけど、暗いものではないと思う。ただし世界で評価されているのは意外な気がする。外国人(一緒くたにくくることはできないけど)が何を評価しているのかには興味がある。